個人事業主がふるさと納税する場合の手続き全般と上限計算方法を解説

個人事業主がふるさと納税する際に必要な手続きや寄付上限額の計算方法は、会社員の場合と大きく異なります。

必要な手続きや計算方法を解説し、個人事業主が的確にふるさと納税を行なう為の情報を集めました。

会社員よりも個人事業主の方が節税対策でふるさと納税に取り組む方が多く、税金の知識が高い事が反映されていると言えるでしょう。

自らのスキルで生計を立てながらも、収入の見通しがつきにくい個人事業主としては、少しでも税金対策としてふるさと納税をうまく活用したいですよね。

まずは個人事業主がふるさと納税をする際に必要な手続きや寄付可能額の計算方法が、会社員と異なる点から解説します。

個人事業主のふるさと納税は会社員の場合と異なる部分が多い

個人事業主がふるさと納税しようとすると、一般的な会社員のやり方を参考にしたくなりますよね。

しかし、個人事業主の場合、ふるさと納税で利用できる手続きが会社員に比べると限定されています。

また寄付や控除の見通しを立てるために必要な計算方法も、会社員

は別のやり方です。

会社員との違いも踏まえて、個人事業主がふるさと納税するために必要な手続きと計算方法を見ていきましょう。

実はシンプル、個人事業主がふるさと納税で控除を受けるための手続き

個人事業主がふるさと納税で控除を受けるための手続きは、会社員とは異なり確定申告のみとなっています。

面倒で難しいイメージの強い確定申告ですが、会計ソフトなどを使えば簡単にふるさと納税で控除手続きできます。

まずは確定申告でどのように控除手続きをしていくのか見ていきましょう

個人事業主の場合は確定申告だけ

個人事業主がふるさと納税で税金で寄付金控除を受けられる方法は、確定申告だけです。

確定申告する時期は、毎年2月中旬から3月中旬が基本になっていますが、2月より前の時期に申告しても問題ありません。

なお会社員の場合は、確定申告のほかにもワンストップ特例制度を活用する選択肢もあります。

詳しいことは以下のリンクをご参照ください。

提出の際は基本的に寄付金受領証明書の添付が必要

基本的に確定申告で寄付金控除を受ける方法は、前年1年間にふるさと納税で寄付した総額を「寄付金控除」の欄に記入するのが主なやり方です。

寄付した自治体が発行した寄付金受領証明書の内容に基づいて記入していきます。

いろは
個人事業主の場合、確定申告書Bの第一表と第二表に寄付金額を記入、特に第二表では寄付した自治体名の記入も忘れないようにしましょう。

加えて第二表の一番下にある「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村分」欄にも、寄付金額を記入します。

国税庁の確定申告書作成コーナー

上記や会計ソフトを使う場合は、寄付金控除の項目に金額や自治体名を入力していく流れです。

確定申告書が完成したら税務署に提出しますが、窓口提出や郵送の場合は寄付金受領証明書の添付が必要です。

e-taxで電子申告する場合は、添付の必要はありません。

住民税関係の手続きは不要

個人事業主を含め所得を得ている人は、所得税のほかに住民税の申告も必要ですが、確定申告をした場合は、住民税関係の手続きが必要ありません。

これは確定申告の内容が税務署から最寄りの自治体にも送られるためで、自治体は送られたデータに基づいて住民税を計算してくれます。

このため確定申告した本人は、住民税額通知書が手元に届くのを待つだけで大丈夫です。

後日還付金や住民税の控除があります

ふるさと納税の寄付金控除は、確定申告から一定期間を経ると受けられます。

所得税の分については、申告して2週間から2ヶ月後に還付金が振り込まれる形です。

一方住民税の分については、5月から6月にかけて決定する住民税が減額される形で寄付金控除が受けられ、自治体が郵送する住民税額通知書の住民税額と寄付金控除額の欄を見ることで寄付金控除を受けられたことが確認できます。

個人事業主がふるさと納税で控除を受ける手続きは、確定申告だけです。

しかし確定申告1つで住民税の手続きもできるうえ、申告方法によっては寄付金受領証明書の添付が必要ありません。

加えて申告の時期が早ければ、所得税分の控除を還付金という形で受けられます。

ところで個人事業主の場合、所得税分の控除はどのような計算するのでしょうか。

次は個人事業主のふるさと納税で、所得税で控除される金額の計算方法を解説します。

個人事業主の場合、所得税でどのくらい控除されるのか

個人事業主が寄付金控除を受けるために行う確定申告は、所得税を対象としたものです。

所得税はそのまま銀行口座に還付されるため、いくら控除されるのかが楽しみであるとともに、計算方法も気になるのではないでしょうか。

まずは基本的な計算式を確認していきましょう。

基本的な計算方法は会社員と同じ

税金の種類別に寄付上限額を計算する方法は、個人事業主の場合も基本的には会社員の場合と同じで、所得税と住民税の基本分、住民税の特例分に分けて計算し合計します。

所得税で寄付金控除額を計算する際に使う式は、

(寄付金額-2,000)×所得税率です。

税率の計算方法は会社員と少し異なる

ふるさと納税で受けられる寄付金控除で、所得税の分を計算する際、欠かせない数字の1つが所得税率です。

税率は課税所得金額に応じて決まっており、具体的には以下のようになっています。

課税所得金額税率控除金額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%9万7,500円
330万円を超え695万円以下20%42万7,500円
695万円を超え900万円以下23%63万6,000円
900万円を超え1,800万円以下33%153万6,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000

個人事業主の場合は、課税所得金額の計算方法も会社員の場合と異なります。

基本的には、

  • 収入-経費-基礎控除-社会保険料控除などの所得控除=課税所得金額

という形で計算する仕組みで、計算の際に経費も忘れずに差し引くという点がポイント。

例えば年収500万円、経費100万円、社会保険料54万円の人の場合は、

500万円-100万円-54万円-38万円(基礎控除)=308万円となり、

さらに上の表から308万円-9万7,500円=298万2,500円で、税率は10%となります。

いろは
なお確定申告書作成コーナーや会計ソフトを活用する場合、データの入力がきちんとできていれば、自動計算で課税所得金額が計算されるため、手間がかかりません。

青色申告の場合は特別控除額も計算に入れる

個人事業主が課税所得金額を計算する際にぜひとも気を付けたいのが、青色申告で確定申告する場合です。

青色申告の場合は特別控除が設けられているため、課税所得金額の計算の際に適用される特別控除額(65万円か10万円)を忘れずに引きましょう。

なお2020年の確定申告から青色申告の制度も変更され、申告方法に応じて特別控除額が異なる仕組みです。

電子申告の場合は今まで通りとなりますが、窓口提出や郵送の場合は55万円となるため、計算の際は注意しましょう。

個人事業主の場合、所得税の計算式は基本的に会社員などの場合と同じですが、税率の計算については経費や控除のことも考えて算出する必要があります。

加えて青色申告で申告する場合は特別控除も計算に入れることも大切なポイントです。

一方で個人事業主にとっては住民税の負担を重く感じられやすいもので、その分ふるさと納税で住民税からいくらほど控除されるのか気になるところですよね。

続いて住民税で控除上限額を計算する方法を見ていきます。

個人事業主ならやはり気になる、住民税からどのくらい控除されるのか

所得税の税率にもよりますが、控除上限額のうち住民税で控除される割合は所得税よりも高めです。

加えて個人事業主は自分で直接納税しないといけないため、なおさらふるさと納税で住民税がどのくらいまで控除されるのか、嫌でも関心を持ちますよね。

個人事業主の場合、住民税の控除では確定申告の種類は無関係ということを解説します。

住民税の控除では確定申告の種類は無関係

青色申告で適用される特別控除は、あくまでも所得税を計算する際だけに使われるものであるため、住民税での寄付金控除額は確定申告の種類とは全く関係ありません。

加えて住民税の計算で使われる控除の種類は、所得税の計算で使われる種類に比べて少なめになっています。

このため確定申告の申告方法によって、住民税の金額が変化することはありません。

おおよそ住民税額の2割程度

住民税の金額からふるさと納税で寄付できるおおよその金額を計算する、非常に簡単な方法があります。

それは1年間の住民税額に20%掛けるというものです。

例えば今年の住民税額が20万円の場合、4万円まで寄付できる計算になります。

ただしあくまでもおおよその金額を計算するための方法ですので、より正確に住民税の中で寄付金控除額を計算するには、以下の方法で計算しましょう。

より正確な計算で欠かせない基本分と特例分

住民税の寄付金控除を計算するには、住民税の場合は基本分と特例分があることを理解する必要があり、基本分と特例分に分けて計算することが大切です。

  • 基本分については、
    (寄付金額-2000)×10%
  • 特例分については、
    (寄付金額-2000)×(100-10-所得税率)

で計算します。

所得税の計算で例に挙げた、課税所得金額300万円で、寄付金額2万円の人で計算すると、

  • 基本分:(20,000-2000)×10%=1,800円
  • 特例分:(20,000-2000)×(100-10-10)
    =18,000×80%=14,400円

です。

以上の基本分と特例分に加えて、所得税での寄付金控除分をすべて合計すると、

1,800円+1,800円+14,400円=18,000円になります。

住民税でどのくらい控除されるかを算出する方法は、基本的に会社員の場合と同じです。

ただし特例分の計算では、所得税の税率も計算に使うため、所得税での控除額を計算するところできちんと税率を出しておくことが大切でしょう。

また時間がなくおおよその金額を出したい場合は、住民税額の2割で計算するのがおすすめです。

個人事業主がふるさと納税する場合の手続き全般と上限計算方法のまとめ

ポイントをまとめますと、以下の通りです。

  • 個人事業主が寄付金控除を受ける方法は確定申告のみ
  • 所得税の分は還付金、住民税の分は税額の減額
  • 所得税で寄付金控除額を計算する式は税率の出し方に注意
  • 住民税で寄付金控除額を計算する方法は会社員と同じ

年収だけではなく、先々の見通しも読み取りにくいのが個人事業主の立場ですが、だからこそいざという時に備えてふるさと納税は上手に活用したいもの。

当記事の内容を振り返りつつ、ふるさと納税で節税していきましょう。