年金受給者がふるさと納税をするときの方法と注意点を解説

ふるさと納税は働いている人が税金控除として利用するイメージが先行していて、実は年金受給者が対象になるケースがあることはあまり知られていません。

年金受給者も年金受給額によっては納税の必要があり、その場合はふるさと納税によって税金の控除を行なえるのです。

決められた手続きを行ない、いくつかの注意点に気を付けてさえいれば、年金受給者にとってもふるさと納税は有効活用できます。

年金受給者がふるさと納税をするときの方法や、その際に気をつけたいことを詳しく解説していきます。

まずは年金受給者がふるさと納税を始めるための方法を見ていきましょう。

年金受給者がふるさと納税を始めるには

年金受給者も条件が揃えば控除を有効に使えるふるさと納税ですが、始めるには段階を踏んで手続きを行う必要があります。
その中でも特に重要なのが、年金収入から控除上限額を計算して把握することです。

まずは、現在の年金収入が控除対象になるかどうかを確認するところから。

最初に控除対象になるかどうかの確認を

年金受給者がふるさと納税を始める際に欠かせない情報に、控除上限額がいくらまでなのかという点があります。

せっかくもらっている年金でふるさと納税を楽しむのであれば、なるべく損はしたくないですよね。

ここでは控除上限額を計算する方法について見ていきます。
まずは自身が控除対象になるかどうか確認するところから見ていきましょう。

年金受給者の場合は、まず自身の年齢と年収の確認が不可欠

年金受給者がふるさと納税を始める際、最初にぜひやっておきたいことが、自身の年金収入が控除対象になるのかどうかを確かめるという点です。

実は税制度でも年金受給者には比較的多額の控除が定められていますが、特に収入が公的年金のみの場合、以下の控除額よりも少ないとふるさと納税で控除の対象になりません。年金受給者向けの控除で特有な控除が公的年金控除です。

64歳以下で公的年金収入が年130万円未満の場合は70万円、65歳以上で公的年金収入が年330万円の場合は120万円となっています。

加えて所得税の基礎控除38万円も加えると、年金受給者の場合は最低でも64歳以下で108万円、65歳以上で158万円の控除が適用される仕組みです。

言い換えれば公的年金収入が上記の控除額を下回る場合は非課税となるため、決まった税金から差し引く寄付金控除が発生しません。

このような理由から年金受給者でふるさと納税を始める場合は、自身の年齢と年収を前もって確認することが大切です。

次に寄付上限額と控除上限額の確認を

年齢と年収を確認して、ふるさと納税で寄付した分も控除の対象になるようであれば、次に寄付上限額と控除上限額を確認しましょう。
わかりやすい目安表も用意されていますが、あくまでも目安の寄付上限額を算出するためのツールです。

↓↓

控除上限額確認ツール

年金受給者の場合は先ほど見た適用される控除額が高いため、給与所得者に比べると寄付上限額と控除上限額は低めに抑えられています。
特に配偶者がいる場合は配偶者控除や扶養控除もかかるため、なおさら控除上限額が少なめですので、注意する必要があります。

例えば69歳独身で年間200万円の公的年金収入だけである場合は、寄付が12,000円まで、控除が10,000円まで可能です。

年金収入を証明する書類を準備しよう

実際に自身で計算して寄付上限額や控除上限額を算出する場合は、まず年金収入を証明する書類を準備します。

主なものとして挙げられるのが、公的年金の源泉徴収票や住民税額通知書です。

確定申告をしていた場合は、確定申告書の控えも含まれます。
源泉徴収票の場合は支払金額欄を、住民税額通知書の場合は所得割額の欄を確認しましょう。

年金収入から課税所得や控除上限額を計算する方法とは

年金収入から課税所得や寄付上限額を計算するには、まず以下の要領で計算します。

なおここでは住民税の所得割額を出すため、計算に使う基礎控除は住民税の33万円です。

最初に課税所得を算出する式は、

  • 公的年金収入(年金受給額)ー(公的年金控除+住民税基礎控除)

このように求める事が出来ます。

ちなみに控除については、実際には社会保険料控除なども計算しますので、見落とさないようにしましょう。

先ほどの69歳独身で年収が公的収入200万円だけという方の場合は、

  • 200万円ー(120万円+33万円)=47万円

これが所得割額です。

次に寄付上限額や控除上限額を算出しますが、課税所得の層によって計算で使う数字が異なるため、以下のように活用しましょう。
ちなみに控除上限額を出す場合は、2,000円を足さなくて良いです。

所得控除上限額
195万円まで所得割額×23.559%+2,000円
195万円~330万円所得割額×25.066%+2,000円
330万円~695万円所得割額×28.744%+2,000円
695万円~900万円所得割額×30.068%+2,000円
900万円~1,800万円所得割額×35.530%+2,000円
1,800万円~4,000万円所得割額×40.683%+2,000円
4,000万円以上所得割額×45.398%+2,000円

住民税額通知書から計算する方法も

ほかにも住民税額通知書から目安の寄付可能額を計算する方法もあります。

この方法は非常に簡単で、年間の住民税額に20%を掛けるだけです。

ただしあくまでも手短に簡単な目安を出す際に使う方法であるため、より正確に計算したい場合は上記の方法を使いましょう。

ふるさと納税を始めるときに欠かせない控除上限額の計算ですが、年金収入を証明する書類や住民税額通知書を使って計算する方法があります。

できれば年金収入の証明書類から計算式を使ってする方が、より正確な控除上限額を算出できるでしょう。

さて控除上限額の計算が終われば、いよいよ本格的に手続きをして寄付をすることになります。

次は控除上限額が出た後にすることを見ていきましょう。

控除上限額の計算が終わってからすることとは

控除上限額が計算できたら、ふるさと納税サイトなどを使って寄付したり、確定申告などを通じて寄付金控除を申請したりします。

まずはふるさと納税サイトへの登録から寄付までの流れが、普通の場合と一緒である点から見ていきましょう。

ふるさと納税で寄付する流れは給与所得者などの場合と一緒

ふるさと納税で寄付する流れは給与所得者などの場合と同じです。
まずふるさと納税サイトに登録したり寄付したい自治体に直接電話やFAXなどで申し込んだりします。

そして送ってもらいたいお礼品や寄付金額を選び、入金を済ませましょう。

入金後は自治体から寄付証明書が発行されますので、大切に保管しておきましょう。

寄付金控除は基本的に確定申告で

年金受給者の場合、ふるさと納税の寄付で控除を受けるには、基本的に確定申告する必要があります。
年金収入は所得の種類で雑所得に当てはまり、雑所得は確定申告の対象になるためです。

このため寄付金控除を受ける場合は、雑所得の申告と一緒に行いましょう。

年金受給者でも条件が合えばワンストップ特例申請できる

確定申告する手間が省けるワンストップ特例制度といえば給与所得者のみが対象ですが、実は年金受給者も一定の条件を満たせば利用できます。

年金受給者がワンストップ特例制度を利用するには、以下の条件全てに当てはまることが必要です。

  • 年金受給額が400万円以下
  • 年金以外の収入が20万円未満
  • 受給している年金が全て源泉徴収の対象
  • 確定申告が必要な所得がない
  • 寄付した自治体が5つ以内

年金受給者がふるさと納税で寄付する方法は給与所得者などと同じですが、寄付金控除を申告するときは確定申告が主な方法となります。

しかし年金受給額が400万円以下など、条件さえ合えばワンストップ特例申請も活用できるため、一定金額以下の年金収入がある場合は確定申告せずに済むでしょう。

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さて年金受給者がふるさと納税をするときは、いくつか注意すべきことがあります。

次は年金受給者がふるさと納税で気を付けるべき注意点を見ていきましょう。

年金受給者がふるさと納税をするときに注意すべき点とは

年金受給者がふるさと納税で寄付する際は注意すべき点がいくつかあるため、事前に知っておけば損を防ぐことができます。

まずは確定申告の対象になる所得や控除で注意したいことから見ていきましょう。

確定申告の対象になる所得や控除がある場合で注意

年金受給者ふるさと納税をするときに注意すべきこととして、まずは確定申告の対象になる所得や控除がある場合が挙げられます。

年金収入のほかにも不動産収入や民間の個人年金などの収入がある場合は、これらの収入ごとに所得を出すことが欠かせません。

不動産収入や民間の個人年金の場合であれば経費を引いて、年金所得などと合算しましょう。

また住宅ローン控除や医療費控除がある場合も、公的年金控除や基礎控除と一緒に計算します。

ただ住宅ローン控除などの場合は、寄付金控除を受けられる額が減る可能性があることも考慮に入れましょう。

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給与所得者用のシミュレーターは使わないようにする

ふるさと納税で控除上限額を算出する際によく使われるのが給与所得者用シミュレーターです。

しかし年金受給者の場合はこのシミュレーターを使わないようにしましょう。

給与所得者と年金受給者では適用される控除の種類と控除額が異なるため、年金受給者が使うと実際の控除可能額よりも高めの数字が出てしまいます。結果的に寄付額の見積もりで大きな誤差が出るため、上記の目安表や計算方法、住民税額通知書から目安を出す方法を使いましょう。

年金受給者がふるさと納税をするとき、確定申告の必要がある所得や控除がある場合はきちんと合算する必要があるほか、シミュレーターも給与所得者用を使うと計算が狂います。

上記のような注意点はありものの、それさえ気を付けていれば年金受給者でも損することなくふるさと納税ができるでしょう。

年金受給者がふるさと納税をする方法と注意点のまとめ

年金受給者がふるさと納税をする際の方法や注意点について見てきました。

内容をまとめますと以下の通りです。

  • 年金受給者のふるさと納税は控除対象になるか確認が必要
  • 控除対象の場合収入証明書類を準備して上限額を計算
  • 上限額が計算できた後は給与所得者などと同じ
  • 寄付金控除は確定申告だが、条件によってはワンストップ特例
  • 収入がある場合や給与収入者用シミュレーターに注意

年金受給者が年金を使ってふるさと納税を始めるには、控除対象になるかどうかや控除上限額をきちんと確認、計算しましょう。

事前の確認や計算さえ終われば、あとは好きな自治体に寄付をしてお礼品をもらったり、節税したりするだけです。

せっかく年金でふるさと納税をするのであれば、なるべくお得にしたいところ。

内容をよく確認しつつ、ふるさと納税を楽しんでください。